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注目した歌ー短歌人2012年10月号

会員2欄から その2

今われが五歳児ならば五歳児のこころむやみに駄々をこねたし(田宮ちづ子)
「オレが先」「アタシが先」と看取る役押し付け合いて夫婦遊べり(平田栄一)
カアカアと鳴く声までを実況す甲子園から響くラジオは(米山和明)
今日は何日何曜日かとさり気なく聞かれて終る老いの検診(福永文子)
人影が優しく伸びてゆく宵におしろい花のつぼみが開く(海野 雪)

たんたんと医師は病名を告げんとすひまわりの花かすんで見える(北岡礼子)
施設では誰もがおばあさんだから「おばあさん」の呼びかけ聞くことは無し(鳥山かずみ)
花はちす咲きて明るく続く道この坂のぼれば父母の墓ある(佐藤綾子)
赤信号待ちの車の前面をゆったり渡る一羽のカラス(渡邉佳子)
朝つゆにかがよいている捩花 盆には戻り来るという精霊(堀口澄子)





by kyo-tonbi-tei | 2012-10-01 16:26 | 短歌